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関西シンポジウム(7/6) 関西で開催するその意義

 表現者クライテリオン「関西シンポジウムin尼崎」 令和6年7月6日(土)開催!

 第一部 新刊『絶望の果ての戦後論』トークセッション~葛藤・敗北・従属の精神史~

 第二部 「腐敗の象徴 大阪万博」の地で保守を再興する


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【コラム】 関西支部 奥野 隆寛


 コロナ禍において、100万人当たりの新型コロナ死者数は大阪が全国最大であり、次いで観光地で高齢化率の高い沖縄、寒冷かつ高齢化率の高い北海道、兵庫が続いている。

このような状況は保健所削減をはじめ公権力による公共の切り売り・思いつきと自己責任を振りかざすばかりの感染症対策によって引き起こされたと考えられる。


しかし、その一方でこの様な無責任な政治勢力が依然として一定程度支持され続けている。

長年に渡り醸成された腐敗した精神土壌に「今だけ金だけ自分だけという価値判断」の種が芽吹き、日本社会が荒廃してきた結果なのであろう。

 

それを考える上で関西万博は非常に示唆に富んでおり、まさにこの万博の会場が夢洲という土地であることも意味深長に思われる。

 

万博会場夢洲は、冷戦特需によってもたらされた経済成長によって生じた肥大化した消費社会が吐き出した廃棄物の処分場として開発が着手された場所だからである。

 

いわば敗戦後の従属精神という地盤の上に偶然にも冷戦に便乗して構築された砂上の楼閣から吐き出され、行き場をなくした廃棄物が地盤となっている。

 

そしてバブル崩壊以降、新自由主義という現実的実社会や人間としての生活を無視した机上の空論によって自己責任を押し付け搾取するイデオロギーを是とする勢力によって構造改革と称して社会構造が歪められてきた。

 

目下進行中の「万博」はIR統合型リゾート施設などと表現されるがカジノ施設と抱き合わせた産業廃棄物上の楼閣、楼閣どころか下水処理や交通・運送・建設計画などをはじめ、運用能力が足りていない、まるで「廃棄物上のモデルハウス」

 

万博協会はまさに「タイプX」のプレハブパビリオンを推進し24棟分の資材を発注したが、採用する国は最大でもわずか3ヵ国にとどまり、そのキャンセル料と称して10数億円を横流ししている。

 

最終的に万博終了後、リングという外門だけ立派なこのプレハブが撤去されたこの地には一体何が残るのであろうか。姿を現すのは、公に寄生して建設された、働かずして人々から搾取し楽して儲けようという下心によって生み出された統合型リゾート施設という名のギャンブル依存・中毒者生産工場であろう。

 

戦後復興期、高度経済成長期の人々の必死の働きそれ自体を批判するものではない。ただ、それをもたらした敗戦や従属状況、そして自由主義陣営が防潮堤として利用するために許可を与えられた成長に過ぎなかったという自覚が必要であったのではないかと思う。

 

結果が

『「壊すものを造って、批判を浴びとる。万博は、もっと夢があるもんやと思ってた」工事業者が語った「士気の上がらない現場」 リングやパビリオン建設の下請け経営者や作業員の本音(47NEWS)』

の記事が示すように弱い者へと負担が押し付けられている。

 

我々日本人が本当に作りたかったものは一体何であったのか?

日本が従属の下での戦後復興であったとしてもそれを自覚し、それすらも自主独立の実現を果たさんとする精神のもと、新自由主義という弱者を踏みつけにして楽してカネだけ設けようなどという下心イデオロギーなどに媚びることなく、経済成長を遂げ続けていられたならば、我々が本当に作り上げたかった日本万博を日本一丸となって実現に向かっていたであろうと思う。

 

しかしここに至ってはタラレバの話をしてもしょうがない。

今われわれにできることは、事実を受け止め、評価・検討し、何が原因なのか、どうすべきであったのかを考え、次こそはその理想の未来を掴むべく行動していくことである。

それがたとえ実現困難であったとしても、それが次世代に対する大人の責任である。

 

このシンポジウムが我々にとってその第一歩となるように、是非皆様のご参加をお願い申し上げたい。

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松田 智臣
松田 智臣
Jun 17

応援しています。出来ることがあれば、ご遠慮なくお声かけください。 松田智臣

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