保守派が陰謀論者で何が問題なのか?
- hikanore
- 4月13日
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【コラム】 東京支部 日高 光
いつの時代にも陰謀は存在する。
陰謀がない時代なんてものは想像がつかないくらい、当たり前に在る。
とりわけ、公約違反の消費増税を命がけで実行するものがあれば、国会で自分の秘書の残業代を払っていない事を居直るものもあり、何十人という裏金議員の処分もおざなりなままに国民に信を問う恥知らずがあり、果ては公約に基づいて政治を行う訳ではないなどと宣う総理大臣が居るような腐った国に、汚い陰謀が無いなんて思う方がおかしい。
こんな腐った時代、こんな腐った国家に暮らしながら、なんちゃら諮問会議に紛れ込んだ竹中何某などを見ると「白昼堂々露骨な利益誘導が行われている。これは最早陰謀ですらない。」とかついつい言い切ってしまいたくなる。
…言い切ってしまいたくなるが、これが中々厄介な問題を抱えている。
成程、確かに過去の歴史や常識に基づけば、竹中何某が「クロ」である可能性は極めて高い。その価値観に基づいて判断を下すのは自然だ。
しかし本当に知的な人間…とりわけ保守の人間は「問題がある疑義が濃厚である」くらいにとどめて置かなければならない。
いい歳をした大人が己の理性を執拗に疑う姿がいさかさ滑稽であったとしても、人や国家の命運のかかった問題をあまりに簡単に考え早とちりをしてしまうと、取り返しがつかなくなってしまう。
最近、米民主党のバーニー・サンダース議員が共和党のケネディ氏から製薬会社から多額の献金を受け取っているとの指摘を受け、ケネディ氏の支持者達が大いに盛り上がる場面があった。
ケネディ氏の支持者達は、まるでサンダース議員が製薬会社の走狗であるかのような物言いであったが、この献金についてはサンダース議員にも言い分があるようで、あくまで製薬会社に勤めている労働者からのもので、経営者側とは関係がないとのこと。
またサンダース議員には薬価抑制や製薬業界の腐敗を巡って時の大統領に何度も改善を訴えている実績があり、製薬会社の走狗であるかのような物言いは説得力を欠く。
挙句、ケネディ氏側は就任前は著名なワクチン陰謀論者であったにも関わらず、厚生長官就任後はワクチン容認に変節したことをサンダース議員から問い詰められる始末であった。
一見もっともらしいように見える話も、思いもよらない様々な側面があったり、あるいは全くの出鱈目だったりする。
それは屡々簡単には見抜けぬゆえ、慎重に事実を確認し考える必要がある。
陰謀はある。しかし、陰謀論を前提条件にしては駄目だ。
それは理性への過信であり先決問題要求の虚偽である。
フランス革命は己が理性への過信から国家を滅茶苦茶にしてしまった。これに対する批判から生まれた保守思想の担い手ならば、同じように理性を過信し、分かりやすい構図に惑わされ、拙速に結論を下す事は避けるべきだろう。
西洋にかぶれた物言いが不満ならば過去の歴史に基づいて、明治維新の際に「倒幕」は叫ばず「攘夷」を謳った志士たちの慎みと、その裏にある幾らかの後ろめたさにでも思いを馳せてはどうだろうか?
自他を憶測に基づいて単純な善悪の構図にはめ込んでしまう陰謀論者的態度は、保守派のそれからは果てしなく遠い。
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