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「土足で」踏み荒らされる私の故郷――TOURISTS, GO HOME !

  • poisonfrog777
  • 2024年11月10日
  • 読了時間: 2分

更新日:4 日前

【コラム】 東京支部 田尻潤子(翻訳業)


こんなことを書かねばならないのが悲しい。それをまず言っておく。自分はこれまで、外国人が沢山日本に来て、日本のことを好きになって帰国してくれればよいと思っていた。そんな人が世界中で増えるのは良いことだと思っていた。しかし、どうやらそれは甘かったらしい。


外国人観光客に人気の日本の観光地、東京・浅草は私の故郷だ。だから実家に行くたびにメトロ銀座線内で大きなスーツケースが邪魔だったり、雷門前などで大勢の観光客たちが写真や動画を撮影しているから(避けるために)遠回りしたり、人気の飲食店での大行列が道をふさいでいるから車道のほうを歩かねばならなかったり、浅草寺周辺のあちこちで「ここで飲食しないでください」という多言語の貼り紙を見たりしているうちに考え方が変わってきてしまった。


マナーの悪い人のほうが「その他大勢」に比べれば少ないのだろうが、100人中1人でも著しい迷惑行為に及んだ場合、その害悪・影響は計り知れない。


特に最近は、日本各地で「鳥居で懸垂」「電車の中でダンス」「世界遺産で落書き」「お寺の竹林の竹を傷つける」「ホテルの備品を壊す・盗む」「バスなどの車内にゴミを捨てる」――おそらくこれらは氷山の一角だろう――、極めつけは「資源回収用のコンテナに放火」なんてことまで起きてしまった。これらはすべて外国人観光客によるものである(本稿執筆時の2024年10月下旬時点で情報収集したもの)


タイトルの「TOURISTS, GO HOME」は、最近オーバーツーリズムが深刻なスペインのバルセロナで、オーバーツーリズムに抗議するデモの参加者たちが掲げていた言葉だ。観光客たちに水鉄砲を浴びせながら「帰れ!」と(直接)言う人たちも多数いたらしい。


しかし私は(少なくとも現時点では)まだ絶望はしていない。国土交通省のサイトを見ると、ただ手をこまねいてばかりというわけではなさそうだ。【参考:オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた取組】


とにかく、日本政府には本気でこの問題に取り組んでもらいたいものである。


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