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2025年4月度 関西支部読書会『トランプは「危機」か「好機」か?』

  • mapi10170907
  • 7月13日
  • 読了時間: 4分

【コラム】 関西支部 支部長 福谷 啓太


《本投稿について》

本投稿は、掲題の勉強会の内容とその後、個人的に整理を進めた内容となります。

令和7年4月5日、梅田で開催の表現者塾関西支部の勉強会は、計9名(内、2名が新規参加者)の参加となりました。今回の勉強会のテーマは表現者クライテリオン2025年3月号「トランプは「危機」か「好機」か?」でした。総じて、本誌の各論考を取り上げたというよりは、その内容を踏まえた上で、各自の全体的な感想やアメリカや日本の状況認識を持ち出して、そこから議論を深めていくような会になりました。


《勉強会での議論》

「アメリカの問題構造は日本も同様のものがある」という認識の下、結局は我々として何に注目すべきか、どうしていくべきかという議論の方向になったと思います。アメリカの昨今の現状から我々が特に注目すべきだと挙がったものをまとめると、下記の3点です。

1.     製造業の復活路線(国力についての再検討、「一国独立」の必要条件)

2.     庶民層返り咲き現象(「一身独立」への道)

3.     機密文章の公開


1.製造業の復活路線(国力についての再検討、「一国独立」の必要条件)

アメリカの衰退現象から見えてくるのは、国力とは軍事力や経済力等の総合的なものであるが、それを支える自国の生産能力や国民の意思こそ蔑ろにしてはいけないということでした。

参加者の方から令和7年4月1日付の日経新聞の記事「軍艦を造れない米製造業」*1)のご紹介があり、製造業の衰退が軍事的な安全保障をも不能にさせているということでした。まさに「安全保障は掛け算(三橋貴明氏など)」という原則を知らしめてくれるものだと思います。(他国に生産を依存するということは、その分野で他国に弱みを握られているのと同じである。軍事技術が長けていても、実物を製造できなければ、安全保障能力としては欠損している。)


2.庶民層返り咲き現象(「一身独立」への道)

軍事、エネルギー、鉱物資源、食料等、100%自国内で調達できなくても、限りなくそれに近い形を目指す必要があるはずですが、日本の場合はアメリカよりも他国依存の状況がひどすぎる一方、政治家をはじめ、全く舵切りをしようとしない。「一国独立の気概」、これをはっきりと考える必要があるとの話がありました。

「一身独立し、一国独立す(福沢諭吉)」というように、まずは国民が「大人になる」必要があり、保守思想に話が展開していきました。そこで本誌前号1月号にて藤井編集長が提唱された「権力認識レベル1~3」的な段階分けにアイデアをお借りした、国民の「保守レベル1~3」*2)があるとすれば、どのようにそれを引き揚げていけるかという話になり、下記のような意見がありました。

①生活感・倫理観と現実政治にズレがあるという認識から始めることとして、大河ドラマや兵庫県斎藤知事等を題材として、身近な人と「大人」として大事なことを思い起こさせるような日常会話をすること。

②本当に独立を奪われていく国(ウイグル、チベット等)の現状を知ることや、政治が壊れた様を描いた2024年の映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」等を鑑賞し、想像すること。

(そこから危機感が生まれて、その反転として精神的な独立に回りだすこともあるのではないか)

③特攻隊に感謝することをはじめ、「一国独立の気概」のあった戦前に触れること。

 (参加者のA氏による広島での特攻隊へのお礼参りや、O氏による千玄室氏の特攻隊員への献茶の話、F.R.氏による祖母が知覧にて特攻隊員にお世話係をされていた話を拝聴でき、改めて特攻隊について思いを馳せる機会にもなった。利害得失が無い関係性の中、語ること、聴くことが如何に腹に落ちることか実感できた次第。話が脱線していくが、現在の10代20代には祖父母にも戦争経験が無く、実感としての戦前の記憶がさらに遠く断絶していっていると想像できる。その中でこのような世代も超え、戦前の話もタブーにしない会を設けることの意義を改めて確認できた。)


3.機密文章の公開

ケネディ暗殺事件に加えて、コロナ関連や日米開戦関連の文章の公開に繋がった場合、日本としても無関係でなく、我々が置かれている状況を見つめ直し、「一国独立の気概」の喚起に繋がる可能性もあることから、注目しているとの話がありました。陰謀論方面に傾かないことを意識しつつ、頭に入れておくべき情報かと存じます。


 *1) 令和7年4月1日付の日経新聞の記事「軍艦を造れない米製造業」 


 *2) 保守レベル(筆者の理解)

  レベル1:特に「保守」や「リベラル」についても意識していないが、どちらかといえば保守的な政治判断をするノンポリ的な庶民層

  レベル2:反韓・反中(反共)・反サヨク・反リベラルといったある勢力への反動、または信条化した「靖国参拝」等を絶対条件とするネトウヨ的な層

  レベル3:私たちをこれまでに支え、これからも支えていくであろうものを保守する為、広範囲かつ長期的な視野を以て、時と所と立場に合わせ、最適な解をその都度選択する層


以上

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