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2025年2月度 関西支部読書会レポート『権力を動かす「権力」の構造』

  • mapi10170907
  • 5月30日
  • 読了時間: 4分

【コラム】 関西支部 支部長 福谷 啓太


《本投稿について》

表現者塾の地方支部として、普段どのような勉強会を実施しているかをご参考に提示します。関西支部としては、これを機に当支部への参加にご興味を抱いていただいたり、ご参加が難しい読者の皆様方におかれましては、内容に対して、何か今後の議論のご参考にしていただけると幸いです。レポート的な内容になりますが、あくまでも個人的なまとめであることをご承知願います。


当支部では、偶数月の第一土曜日に基本的に大阪の梅田にて雑誌「表現者クライテリオン」の前号を議題として勉強会を開催しています。2025年2月では特別に、遅めの初詣として西宮神社にて正式参拝を実施し、その後、近くの商工会議所にて本誌2025年1月号「権力を動かす「権力」の構造」の勉強会を実施しました。参加人数は普段よりちょっと少なく計9名で、一人5分~10分近く、本誌において興味深かったところ、それを種に議論したいところを述べていただき、その後参加者で議論をするといった形式で、合計およそ3時間近く議論しました。


《勉強会での議論》

勉強会は全体的に非常にまとまった議論になったと感じました。議論の軸としては、本誌特集座談会において藤井編集長が提唱された「権力認識レベル1~3 *1)」があり、それに対する参加者各個人の実体験も踏まえた考え方を述べ合い、理解を深め合う機会になったように思います。また陰謀論自体の定義として、「何か世界を支配している強大な力を持った集団が陰謀を巡らせているという認識を基に展開される世界解釈」という紹介(A氏)もあり、参加者で共有しました。

参加者が取り挙げた最近の実例として、「財務省解体デモ」がありました。財務省の批判自体は健全(I氏)であるが、一方で財務省自体がディープステートなのではなく、財務省は財務省の論理で動いてきたという構造を認識しておく必要がある(F.R.氏)という議論がありました。また米国のウォール・ストリート(S氏)、農協の株式会社化(O.T.氏)の話も挙げられました。


展開として、陰謀論の見分け方、とりわけ「レベル2」の段階のある人とはどのような人であるかということの掘り下げがありました。見分け方としては陰謀論容疑者の言論を他の言論と「評価・比較する」という情報整理的な分析と「(自分が他者とその内容に対して)議論する」こと(F.R.氏)という提案がありました。補足として、容疑者自身の論調が論敵の立場(構造)も考えているかどうか(O.T.氏)、決めつけ的な態度(F.K氏)かどうか、何かに不安で孤独を抱えている(N氏)という振る舞いを見ることも重要な要素であるという意見がありました。


「レベル2」に陥らない前提条件としては、精神的な余裕(F.K.氏)が挙げられました。例えば(自分の考えを相対的に見つめ直すという意味で)このような勉強会の機会に参加すること(A氏)であったり、本誌の「カフカの城」で言及されているような「服を選ぶこと(のように自分の趣味(内的なもの)に従順であり、主軸があること)」(N氏)、(有用性の世界から一歩引いたところから現実世界を見つめ直せるような)信仰(O.T.氏)が大事であると確認しました。


結局は「大衆(オルテガ)」の問題ではないか(Y氏)とのことで、人格論の話となり、物事の認知としてあらゆる可能性を捨てないこと(Y氏)、また自身がその「陰謀の構造」の中にいる人間であれば、悪魔に魂を売っている自覚があるのかどうかということ(N氏)、「陰謀の構造」の中にいる人間に対しては、その「構造」を踏まえた上で敬意ある対応をしないと逆恨みにあって(O.T.氏)建設的な議論にならないのではないか等、我々自身の戒めとしても確認し合う機会となりました。


  *1) 権力に対する認識レベル(本誌の内容を基に筆者にて整理)

   レベル1:「権力を動かす権力の構造」を何も知らない、教科書通りに政治が行われているという認識

   レベル2:「陰謀論」を含め、「権力を動かす権力」がありそうだという認識

   レベル3:陰謀組織のような「権力を動かす権力」というよりは、大小様々なプレーヤーがそれぞれの意図と目論見の下で押し合い圧し合いをしているというような「構造」があるという認識

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