top of page

語り継ぐこと

【お勧めコンテンツと考察】 東京支部 松島 豊樹

歌:元ちとせ 作詞:HUSSY_R 作曲:田鹿 祐一


【歌詞】

なみだ いくつ 零れて

新月の夜 ひとつ海が生まれた

遠く紡いだ言葉

語りべたちの物語の中に


むかし だれかが ここで

張り裂けそうな胸をそっと開いた

歌に奏でてずっと

どんな場所にも携えてゆけるよ


消さないで あなたの中の

ともしびは連なりいつしか輝くから


語り継ぐことや伝えてゆくこと

時代のうねりを渡って行く舟

風光る 今日の日の空を

受け継いで それを明日に手渡して


指に 額に 髪に

あなたの向こう 垣間見える面影

もしも時の流れを

さかのぼれたら その人に出逢える


この世界 生まれてそして

与えられたあらゆる名前に願いがある


いとしい笑顔に心動かして

嵐に揺らいで立ち止まる時も

守りたい すべてを捧げても

思いは力に姿を変えるから


語り継いで 伝えてゆくこと

時代のうねりを渡って行く舟

風光る 今日の日の空を

受け継いで それを明日に手渡して



【考察】

 初回投稿でもあり、この歌に関連して保守思想誌「表現者クライテリオン」の「保守」を主題に考察してみます。


 一口に保守と言っても、様々なグループや分類がありそうです。(自称保守含む)  

 大抵の保守グループは他グループについて「あんなのと一緒にして欲しくない」と思っているのではないでしょうか。

 それらが無理にまとまる必要は感じませんが、散見される商売ありきの差別化(セクト化)からキャンセルカルチャー的なやりとりへの流れは、不毛や懸念を感じる次第です。 


 この歌の好きな所、関連して語りたい事は、大きく以下の2点です。

   ①おおらかな「原初の保守」について表現されている

   ②語り継ぐ(継がれる)事の貴重さや儚さが表現されている


 人類は「神」の発見よりも昔に「歌」を嗜んできたのでは無いでしょうか。 そして、物語や人の想いを特定の書式(この場合は歌)にパッケージする事で、時間と空間を超えて価値ある情報を他者・後世へ伝えて来たのでしょう。 結果、私達は先人を主とした他者からの恩恵を受けて、生活環境としての文化だけでなく生命や人の想いも受け継ぎながら、文化的で豊かな生活を営んでいるのだと思います。 しかし、この状況のより良い継承は当たり前の事ではなく、多くの危機や困難が予想され、相応の努力が求められる事でしょう。


 危機に対峙する保守思想誌「表現者クライテリオン」の頭に付く「危機に対峙する」とは、上記での「より良い継承に際しての危機や困難の解決」ではないかと解釈しています。

 貴重な文化や命の器としての「日本」がこれ以上毀損されない為にも、可能な範囲で「思いを力に変え」てみたいと思います。



【余談】

 この歌は2005年に放送されたTVアニメ「BLOOD+」のED曲でもあります。

 本作に採用されている曲は良作が多いのですが、お話も味わい深く高品質です。


 物語は所謂ヴァンパイアハンター物で、主人公の女子高生が日本刀を振り回して怪物と戦うのですが、その前身となる劇場用短編アニメ映画を見て触発された映画監督のクエンティン・タランティーノが、映画「キル・ビル」でセーラー服の殺し屋(演:栗山千明)を設定したり、アニメパートを挿入しています。


 物語の舞台は1966年の横田基地から現代の沖縄、そしてベトナム、ロシア、フランス、イギリス、アメリカと転戦して最後は沖縄に戻ります。

 日米地位協定、アメリカ軍産複合体、赤い楯(ロスチャイルド家)、世界的な持株会社(ゴールドスミス・ホールディングス)、大手製薬会社などが背景として語られており、フィクションではありますが現在の世界秩序やその歴史・背景など思索しながら鑑賞するのも面白いかもしれません。

閲覧数:73回
bottom of page