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藤井先生の講義「死生観・人生論と生の哲学について」に参加して

【コラム】 関西支部 N


去る9月30日、表現者塾関西支部の特別編として藤井編集長の講義が開催されました。


少し時を遡りますが、約1年前の11月に開催されたレジリエンスフェスティバルは余命宣告を受けたような衝撃を覚えた会でした。自然災害、外交や安保、経済、どの方面から見ても「今のような生活を送ることができるのもあと10年。それ以降は修羅の道が待っているんだな」と感じられ、会が終わった時には少しの間立ち上がれませんでした。暗澹たる気持ちになったのです。

ところが登壇されていた先生方はまったく陰気ではなく強靭そのものに見えました。この強靭さはどこからくるのか考えていきついたのは学問の凄みです。余命10年と考えた時、学びたいという気持ちが湧き上がり、学びの先に見える景色を見てみたいと思いました。また、いよいよ危機に際して活路が見出せるとすれば、学び以外には考えられませんでした。


死というものを強く意識し、今までとは自分の心持ちも違ってきた折に開催された今回の講義は、大変励みになるものでした。

学びたいという気持ちが強くなり挑戦したことの1つに同人サイトへの投稿があります。書くということはとても難しい作業でした。自分の中にあるものを適切に表す言葉が見つからない、辞書を開いて見つけても格好をつけているようで座りが悪い、気がつけば話が逸れている、、この春ようやく1本投稿できたものの、その後も2、3本書いてみては途中で止まっている始末でしたから、藤井先生も若い頃は文章を書くことに苦労され研鑽を積まれたというお話にはとても励まされ、「研鑽を積むのか否か」と自分に問いかける言葉として胸に留まっています。


研鑽を積むのか否かーー今回のテーマ「死生観」に通じるものです。


死に様は生き様であり、いかに死ぬかはいかに生きるか、死生論は誇りの問題。では誇りとはなんであるか、誇りとは魂である。我々は神の切れ端を魂としていただいており、この魂をどう使うのか、自分の人生を1本の映画だと考え自分の人生をプロデュースするのだというお話は、励まされると同時にやはり自分への厳しい問いかけを生むお話でした。

主人公を取り囲む環境がどんなであっても、見どころのある映画にすることは可能だからです。どれほど世の中が腐臭を放っていようと、自分がどう生きるかはそれらとは独立した場所にあるわけですから、政治や世の中の腐敗を言い訳にニヒリズムに陥ることは許されません。


世間で耳にする所謂「自己責任」は唾棄したくなる嫌な言葉です。全く経済成長しない中で自己責任論を振り翳す欺瞞はクライテリオン読者にとっては釈迦に説法でしょう。仮に困窮に陥ってしまったのが自身の愚かさ故であっても見捨てない懐の深い国であって欲しいですし(陛下がいてくださっている、それで十二分に私たちは深い懐に抱かれていますが)、例えば刑務所という場所があるのは愚かな者も見捨てないという証ではないかと思います。

けれど、どう生きるかは自分で責任を負うしかありません。


独立自尊。一身独立してこそ国の独立も見えてきましょう。



今回の講義で恐ろしかったのは、神に近づくほど、つまづいた時の反動が大きいというお話です。近づいた分反転し、堕天使のように真善美に背を向ける人を目にしたことはコロナ騒動での衝撃的な出来事でした。嘗てその言論に学んだ人、熱いワンシーンを見せてくれた人、和やかな時間を過ごした良い思い出もありましたから、残念という以外に言葉が見つからず、この先研鑽を積んでいくことができたとしても私自身も一つ間違えればいとも簡単に転げ落ちる可能性があることを日に何度も思い出します。

なぜつまづくのかーー無明という言葉が浮かび上がりました。東京支部織部好みさんの投稿の中で解脱上人貞慶の夢の話が紹介されています。


「上人の草庵の戸を叩く者あり。外に出ると異形の魔物の群れが居るが、よく見ると元は高僧・学匠達。彼らは仏教の本義だけを極める事に専心し、戒行を怠った為に魔道に落ちて天狗となり、苦行を強いられている。同じ轍を踏まない様に警告に来た。」とあり、弟子達に「くれぐれも学を誇り、菩提心(悟りを求める心)を疎かにせぬよう。」と戒めたとの事。<織部好みさんの投稿「情報リテラシーと天狗の跋扈」より引用>


昔先輩が間違って発した言葉を思い出しました。息が合うと言おうとして「息の根が合う」と言って皆で大笑いしたのですが、その先輩が「でも息の根が合うって良くない?根っこが違うとダメだよ。息の根が合う仲間が大事だよ」と言ってからお守りのような言葉になっています。

根っこーー研鑽を積む由を忘れず、関西支部の皆さんと研鑽を積んでいきたいと思います。



藤井先生、この度は貴重なお時間を関西支部のために割いてくださり誠にありがとうございました。

関西支部長福谷さん、このような会を企画くださり感謝しています。これからも宜しくお願いいたします。

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