信州支部便り 12月版
- mapi10170907
- 2024年1月22日
- 読了時間: 8分
【コラム】 信州支部 前田 一樹 ※信州支部メルマガより転載
信州支部 お問合せ:shinshu@the-criterion.jp
▼12月22日配信 反発心を越えて「父」と付き合うこと、自分が真にやりたいこととの出会い
「親とまともに付き合ってことそ、自分の本当の欲望が見えてくる」
福田恒存に確かそんな言葉がありました。出典は失念してしまいましたが、よく分からないままに印象に残っています。
今年、「信州支部メルマガ」を続けてきた良かったことで、まず思い当たるのは「信州支部」や『クライテリオン』について「父」が認知をしてくれたことです(「信州支部メルマガ」を続けてきたことが全てではありませんが、幾分か影響があったであろうとの判断です)。
『クライテリオン』のこと、「信州支部」のことを、身内に説明するのはなかなか説明が難しいことではあります。
急になにやら政治経済について自説らしきものを語るようになったり、東京の塾に毎月通うようになったり、何をやっているのか分からず心配をかけたと思っています。
しかし、今年「信州支部メルマガ」を続けるなかで、「父」にも少しでも自分が運営している「信州支部」や、尊敬する先生方が発行する『クライテリオン』の思想について分かってもらいたいという思いから、メルマガに登録への登録をお願いし、実際登録してくれていました。
面と向かって説明するのが難しくても、率直な自分の思いを、第3者に説明するという格好でメルマガとして送ることで、支部活動にかける思いや、『クライテリオン』の思想についても、若干でも伝わったのではないかと思っています。『クライテリオン』も何号か差し上げても来ました。
その結果、11月に父と「さし」で飲む機会があり、その席で父が、
「自分も世の中に対して思うことは多々ある。でも、それを表現することをしてこなかった。その点お前がやっている活動はよくやっていると思う」
という言葉をポツリとかけてくれました。
これは非常に嬉しかったのと同時に、冒頭の「福田恒存」の言葉の意味が分かった気がしました。
「父」への反発で何かをやっているうちは本当の欲望、やりたいこと、ではない。
そうではなく、困難を伴うなか「父」と普通に付き合っていて、それでも自分の内側から湧いてくる動機。それこそが純粋に能動的な欲望なのだと、、、、
また、その能動性の発露は、父を含めた周囲に伝わっていくものなのだと思うのです。
私は正直、10代、20代の頃、父に理解されようという努力もしていませんでしたし、分かってもらいたいという気持ちもありませんでした。はじめから諦めていました。それは、いまから思うとそれは反発心の塊だったような気がしています。
逆にいまは普通の暮らしを営み、父とも付き合いながら、それでもなお湧いてくる欲望から、情熱を感じることに挑戦できている状態になってきていると思っています。
そんなニュートラルな心構えで、「自分にできることをできるだけ」をモットーにこれからも、信州支部の活動、信州支部メルマガを続けていきたいです。
そんな私事を書いてきましたが、誰にとっても「親」との関係は難しもの。自分と親との関係について考える一つの切っ掛けにしていただければ幸いです。
さて、いよいよ次が今年ラストのメルマガになります!
何を書くか全く決めていませんが、ひとまず落とすことなく、最後まで今年の配信をやり切りたいと思います。
▼12月28日配信 後ろ姿を見ていてくれた「仲間」の存在、そして連携した「アウトプット」へ
前回のメルマガに、次が今年最後のメルマガと書きましたが、本当の今年最後の日である「31日(日)分」のメルマガもありました。すみません。
「31日(日)分」のメルマガには、今年の最後の挨拶を書くとして、今回の「24日(日)分」には、今年メルマガを配信し続けてきて、よかったことをもう1つを書きたいと思います。
それは、「仲間」の存在についてです。
まず、長野県内のクライテリオン読者の繋がりを作ることを目標として活動を開始した信州支部でしたが、その繋がりができてから、次の段階として課題に感じていたことは「アウトプット」の問題でした。
本誌を読んで議論をしたり、執筆者の先生をお呼びして学習会で講義を聞いたりするのは、新しい情報を「インプット」することだと言えます。
議論において意見を言葉にしているということはありますが、やはり、テーマや情報があったうえでの議論なので、まとまった文章を書くという行為と比べて受動性が高いと判断できます。
支部を続けていく上では、執筆者の先生たちに依存するのではなく、自分達からの「アウトプット」していく、文章を書いて発信していく、といった「創造性」がなければ、活動がマンネリ化して先細りになっていくと思われました。
そこで、「まずは自分が一人でできることを」ということで始めたのが、この「信州支部メルマガの週1配信」だったのです。
そして、今年の「1月1日(日)」から何とか週1配信を続けてきたところ、先月の11月定例会にて、来年の信州支部の運営について話すなかで、信州支部に参加しているメンバーも「当番制」でメルマガを執筆し配信していくことが決まりました。
※信州支部メンバーのメルマガは、来年より「毎月最終日曜」配信予定。
仲間の一人は、
「本当は自分から文章を書いて発表するってのは柄じゃない。自分一人では絶対にやらない。でも、前田さんがやっているから俺もやるよ」
と言ってくれました。
「こんな、私にもできることを」という想いで、毎週コツコツとメルマガを書いてきた、後ろ姿を仲間が見ていてくれたこと、そして、自分から動く気持ちを持ってくれたことに大きな感動を覚えました。
保守思想に関心のある「仲間」と出会うだけでも難しいなか、「仲間」と協力して思想的な「アウトプット」をしていく、創造的な共同作業ができるというのは、さらに稀有なことであり、非常に有難いご縁です。
数年前、たった一人で『表現者』や『クライテリオン』を読んでいた頃からすると、長野県内の志や関心を同じくできる仲間と繋がり、連携して何かをできるには夢のような状況です。
そのご縁に感謝しながら、これからも信州支部を「インプット」と「アウトプット」の2つを循環させるように回していきたいと思っています。
まだまだ、本当に小さな範囲にではなりますが、この信州支部メンバーで連携していく「アウトプット」が周囲に影響を与えていくことになるのが今から楽しみでもあります。
「思想」というのは、このように「仲間」との連携を通じて、少しずつ広がり伝わっていくもののようです。
『クライテリオン』に関心をお持ちの皆様においても、可能であれば、表現者塾かお近くの支部に参加し、仲間と出会い連携していっていただければ幸いです。
ということで、今度こそ今年最後「31日(日)」のメルマガでお会いしましょう!それでは!
▼12月31日配信 槍ヶ岳より今年最後のご挨拶に代えてー自らに問いかけ素直な心で生きること
皆様大晦日いかがお過ごしでしょうか?
多くの方々は、今年の出来事に思いをはせつつ、ゆっくりとした時間を過ごされていることと思います。
ところで、私は今年最後のこの「信州支部メルマガ」を、「12月28日(木)」の時点で書いています。
なぜなら、明日、「12月29日(金)」から3泊4日の日程で、冬の北アルプス「槍ヶ岳」に登山するため山に入ることになっているからです。
このメルマガが配信される大晦日には「槍ヶ岳」を目指して、北アルプスの山中を歩いています。
いまのところ天気が非常に悪い予報になっているため、テントで天候が回復するまで待っているところかもしれません。
そんな状況ではありますが、今年最後のメルマガをお届けします。
今回は「私が今年、意識し続けてきたこと」について、簡単にお伝えしたいと思います。
今年は、
「心静かに自己の内面に、自分のやりたいこと、やりたくないこと問いかけ、その答えに沿って行動すること」
を意識してきました。
当たり前に思うかもしれませんが、現代人は、
「深く自分に問いかけるより、周囲に適応するために頭で考え行動する」
のが、通常モードになっているため、なかなか率直に自己に問いかけて、それに応じて素直に行動することができません。
生まれて間もない子―ちのみごーでさえも、物の好き嫌いをよく知り分けている。好きということは愛に属していて、これは仁―慈愛―の心である。これに対して、嫌いということは恥に属していて、これは義―正しい筋道―である。人の心の霊妙な光―良心・良知・仏性―は、自然とそのように現れるものである。
(佐藤一斎著、久須本文雄訳注、『座右版 言志四録』、291頁)
これは最近、注目している「佐藤一斎」という江戸時代の儒学者の言葉です。
このような「素直な心」にもとづいて生きることが、シンプルで嘘のない生き方に繋がると考えてきました。
またこのような人間の自然なあり方に繋がる、考えや心構えこそ「保守思想」の根幹だとも。
とはいえ、自分も考え過ぎて、なかなか素直に自分自身に問いかけ行動することができません。
その時は焦って答えを出そうとせず、自然と答えが見えてくるまで静かに待つことが大切なのだと、せっかちな自分に言い聞かせています。
そんなことをいつも考えているため、つくづく時事的な問題に対してはからっきしで、今年メルマガを続けていても、マクロなレベルの問題にはほぼ触れず、個人的に体験したこと思ったことをばかり書き連ねて来たように思います。
しかし、それが自分の置かれた立場、与えられた能力や性質なのであり、それに逆らわずにやってきたからこそ、このメルマガも1年間の週1配信を続けられた気がしています。
そして、それがお読みいただいた方にとって、何某か気づきに繋がっていましたら幸いに存じます。お付き合いいただいた皆様、誠にありがとうございました。
特に感想や反応などをメールでいただいた皆様におかれましては、大変な励みと示唆をいただきましたので感謝申し上げます。
当初は1年間の期限つきで頑張ってきましたが、やはり、自分にとってこれを続けていくことが自然と意欲が持てることであり、信州支部にとっても必要なことであるとの判断から、来年も気負わずに、週1配信を続けていく予定です。
といことで、来年もお付き合いのほどよろしくお願いいたします。皆様よいお年をお迎えください。
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